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『軍艦と少年』

6編からなる、吉村昭の『空白の戦記』を
読んだ。正史に載らない埋もれた戦争の真
実を掘り起こし・・巨大な戦争の陰の部分、
闇に葬られた【秘録】を集めた力作編です。 
そのなかに以前に読んだ【戦艦武蔵】の後
日譚とも言える短編【軍艦と少年】がある。
その存在を知り・・さっそく購読してみた。

【軍艦と少年】は『戦艦武蔵』建造で扱っ
た極秘図面の紛失事件のあらましと結果で、
図面を紛失した当時19歳の少年は、あの暗
い時代、『なにか過失を犯せば、他の職場
へ移動させられるだろう』と単純な考えで、
1枚の図面をボイラー室で燃やしてしまっ
た。それが少年でなければ極刑に値する罪
である時代の話。暗い部屋から出て明るい
陽光を浴びたかっただけなのに。彼の人生
は一度も日の当たる場所に出ることなく終
わったそうです。

何不自由なく、50年生きてきたワタシで
す。その時代を体験したいとは、もちろん
思いませんが、隠せない【史実】を知って
おきたいとは思います。長い人生、何度か
目をそらしたいモノから目をそらさず【真
実】を知るコトも必要ではないでしょうか。

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