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『20年前のこの日』

朝刊の経済欄【山一證券・破綻から20
年】に目が留まる。そうか・・自主廃業
を発表し当時の社長が「社員は悪くあり
ませんから」と泣き顔で訴えた、あの日
から20年が経つのか。よう憶えてます。

その夜、大阪城ホールで矢沢永吉のライ
ブがあり、当日のチケットを持たないワ
タシは周辺のダフ屋でチケットを購入し
ようと会場の前に。ダフ屋を探す横から
『チケットを買っていただけませんか』
とスーツ姿の男が声をかけてきた。『今
日、会社がつぶれ、楽しみにしてたライ
ブは観れなくなりました。これから会社
まで戻らなければなりません』と悲痛な
面持ちで語りかけてきた。『ええっ、山
一証券さん?』言葉を返す。チケットは
正規価格で購入した。彼の寂しそうな後
ろ姿が忘れられない、あれから20年か。

ひと月ほど前【山一証券 最後の12人
しんがり】を読んだ。破綻に追い込まれ、
幹部たちまでもが我先にと沈没船から逃
げ出す中、会社に踏み留まって経営破綻
の原因を追究し、清算業務に就いた一群
の社員たちの記録です。著者は清武英利。

20年が経った今でも、歴史ある会社が
不正を行い、社員はその不正に気付かな
いまま窮地に立たされるニュースをみる。
歴史は繰り返される、演者が違うだけだ。

本書は「自分たちで決着をつけよう」と
会社の消滅時に、最後まで意地を貫いた
社員の姿が描かれた力作です。あの日か
ら20年、スーツ姿の彼は元気だろうか。

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