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『村上春樹・紀行文集』

このひと月、わりとヘヴィな本を選び、読ん
だので少しばかり休憩を。手にした一冊は村
上春樹の紀行文集。【ノルウェィの森】等の
小説よりも、シングル・モルトを味わうべく
訪ねたアイラ島・紀行【もし僕らのことばが
ウイスキーであったなら】の方が好きなのだ。

電車の窓から見える、須磨の海を眺めながら
この風景に合う本があれば・・と思ったとき、
書店で見つけた一冊。読みはじめ50数頁に

南側には比較的平坦な海岸線が続き、海鳥が
多く、バードウオッチングに適している。北
部沿岸にはいくつかの息をのむような美しい
フィヨルドがある。大昔に氷河によって削り
取られた断崖、ひっそりとした静かな入り江、
赤い屋根の小さな教会、どこまでもひろがる
緑色の苔、低く速く流れるくっきりとした雲、
不思議なかたちをしたもの言わぬ山々、風に
揺れるソフトな草、句読点を打つように思い
思いに散らばった羊たち・・焼け落ちた廃屋、
冬に向けてしっかりと束ねられた干し草、そ
れら風景は写真を撮ることさえはばかられた。

上手いなあ・・その場所に居なくとも北欧の
情景が目に浮かんでくる。旅することから随
分と離れた酒場店主に、一服の清涼剤となる。

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