根本陸夫。この人物には随分と昔から興味
を持っていた。プロ野球の選手としては実
働わずか4年、輝かしい実績はない。選手
引退後にスカウト、コーチの経験を積んで
1968年から広島カープの監督になると、
その人脈と卓越した洞察力を武器に、低迷
していたカープを初めてリーグAクラスに
導き、後にライオンズ、ホークスを変革し
黄金時代を築いた【球界の寝業師】と言わ
れた男の評伝です。監督での手腕はあまり
評価されず、勝つ為の前段まで選手を育て、
次の監督に渡すという役割を好んでたよう
に思われる。野球人として異質の人、実像
が伝わりにくいなか、人物像が見えてきた。
誰かに似てるな・・思案すると、終戦直後
の混迷期、首相・吉田茂の懐刀としてGHQ
と渡り合った男【白洲次郎】と重なるのだ。
また、その鋭い眼光は、あの【安藤昇】の
眼と一緒と思ってたら読んでる途中、同じ
法政大学に通い、渋谷や銀座で暴れた昵懇
の間柄と知り驚かされる。今の時代、今の
球界にこんなヒトは居ない。旧き良き時代
の【大人の話】を聞かせていただきました。