作者の言葉より　「歩くひと」はゆかいなひとで
す。のんびりと楽しみながら歩きます。時間なん
かまるで気にしません。身も心も軽やかです。だ
からいろんなものが目に入る。なんの変哲もない
日常の景色のなかでさえ、おもしろいものを見つ
けて楽しんでしまう。ときどき佇んでぼんやりし
たり、木に触ってみたり、木に登ったり、石ころ
を拾ったりします。やはり「歩くひと」はとても
変です。それでもきっと「歩くひと」は私たちが
遠くへ忘れ去ったなつかしいものを思い出させて
くれるでしょう。さあ、今すぐせわしなく走りま
わってきた時間をちょっと止めて、少しだけ歩い
てみませんか。ゆっくりとね。　頁を捲ることで
いらち（気が短い）な酒場店主もこころ洗われま
す。歩くことは楽しい。谷口ジローの世界に浸る。