Read Article

『忘れ得ぬ人』

シゴト始めの昨晩、開店前に知らない番号からの
着信。「オバラさんですか、私は福田浩之の母親
です。息子の浩之は2年ほど前に亡くなりました。
今日、年賀状が届きましたのでお知らせしなけれ
ば、と」。言葉を失う。長い間、連絡がつかぬま
までしたが、まさか。昨年末、学生時代の恩師の
訃報につづき、恩人の訃報を聞くとは。あれは2
001年の6月です。酒場の開業を思いたったワ
シは知り合いの酒場に『バーテンダー修行』を願
い出ましたが、ことごとく断られ、最後の砦とし
て南船場の【ブーティ】というカジュアル・バー
に飛び込みました。一瞬、怪訝な顔をされました
が「何時から来れますか?」に「えっ、いいんで
すか?」「あなた、バーをはじめたいんでしょ」。
その時の会話は今もよく憶えてます。それから開
業までの3か月間、店のカウンターに立たせてい
ただきました。福田店主から教わったことはふた
つ「接客をしてください、出来なければやめても
らいます」「メジャーカップは使うな。酒は少し
多めくらいが丁度良い」です。もちろん、教えて
いただいた鉄則は守ってますとも。電話を置く前、
お母さんにこう伝えました。「福田さんのお店で
修行させていただいたのは3か月の間ですが、お
陰さまで、ワタシの店もこうして開業から23年
目の正月を迎えることが出来ました」。ありがと
うございました。また、一緒に飲みたかったなあ。

URL :
TRACKBACK URL :

COMMENT ON FACEBOOK

Return Top