２００８年、太平洋上で碇泊中の中型漁船が突如
として沈没、１７名もの犠牲者を出した。沈みよ
うがない状況で、なぜ悲劇は起こったのか、なぜ
生還者の証言は無視されたのか。事故調査の内容
が真実でないとしたら。事故に関する資料の読み
込みから真相を知ると思われる官僚への取材、最
初は木で鼻をくくったような対応してた官僚たち
が、著者の誠実な姿勢に心を開き、自らの知見を。
取材の道のりは長く、諦めない、望みを捨てない
スタンスの著者・井澤理恵は、本書がデビュー作
やそうな。日本の近代海難史上、まれにみる【未
解決事件】の謎に迫る一冊。『大宅壮一ノンフィ
クション賞』受賞の力作。ええ本に当たりました。