「生きれば生きるほど、私の身体は、いびつに壊
れていく」。自らを「せむし(ハンチバック)の
怪物」という本書の著者・市川沙央は、難病【ミ
オチュブラー・ミオパチー】である。生直後ある
いは乳児期より全身の筋緊張低下を主症状とする
遺伝性筋疾患です。その市川が描く『芥川賞候補
作』を妹から薦められたのは今週の水曜日。彼女
の1歳に満たない孫がこの難病と闘ってます。そ
の病名すら知りませんでした。直ぐに書店に向か
い本書を手に取り、2度ほど読み返す。ひと言で
いえば【極めて強い作品】だ。他の誰も真似の出
来ない小説である。文中にある 日本では社会に
障害者はいないことになってるので、本に苦しむ
せむし(ハンチバック)の怪物の姿など日本の健
常者は想像もしたことがないだろう。こちらは紙
の本の一冊読むたび少しずつ背骨が潰れていく気
がするというのに、紙の匂いが好き、とかページ
をめくる感覚が好き、などと宣う健常者は呑気で
いい。まさに、言葉が出ない。ノックアウトです。
『ハンチバック』
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