昨日、訃報を知ったとき、思わず『えっ!』
と声が出た。えっ・・あの【キヌ】が。昔か
らのカープ・ファンは彼のことを親しみを込
めてそう呼ぶ。鉄人なのに何故、衣笠祥雄よ。
ニュースを見ながら遠い昔を思い出す。あれ
は小学校5年生のとき・・自宅から自転車で
10分ほどの【市民球場】で試合前の選手を
待ちサインをもらうことが日課となっていた。
来た、車からキヌが降りて来た。『サインち
ょうだい』『お前は昨日、やったやろ』『今
日もちょうだい』『ダメ!』『なんで?』押
し問答を繰り返しました。後日、この模様が
【週刊ベースボール】のグラビアに掲載され
ました。イヤと言いながらも、その顔は笑っ
てた。セ・リーグの【お荷物球団】と言われ
た時代の話です。あの頃からすると随分と強
くなりました。しかしながら、今も昔もカー
プの伝統となる、その基本姿勢は変わらない。
手塩にかけた【生え抜き】選手たちの競争だ。
1975年のリーグ初優勝のとき、広島市民
はひとつになりました。この地で育ったこと
を誇らしくも思えた。チームの中心に彼がい
た。ありがとうキヌ、さらば鉄人・衣笠祥雄。