倉島市と呉原市、どちらも広島県に位置す
る架空の街です。県警とやくざの癒着を描
いた新旧の映像作品、倉島市は【県警対組
織暴力】、呉原市は【孤狼の血】の舞台に。
1975年に劇場公開された【県警対組織
暴力】の主役は菅原文太。監督に深作欣二、
脚本は笠原和夫の【仁義なき戦い】シリー
ズの実録路線トリオだ。また、周りを固め
る俳優も松方弘樹、成田三樹夫、金子信雄
と、連作の出演で広島弁にも磨きがかかり、
彼等の台詞のひと言、ひと言に渋みがある。
混沌とした戦後社会を背景に、この上ない
下品な広島弁と情け容赦ない暴力描写【東
映】が放つ、強烈な悪臭が画面いっぱいに。
その【県警対組織暴力】を下敷きに、柚木
裕子の原作を映像化した【孤狼の血】。今
どきの邦画からすれば、なんともまあ汗臭
く、言葉の下品さも程よく加味され、熱い
作品になりましたね。こういう映画、首を
長くして待ってました。劇場にも行ったよ。
監督の白石和彌は注目やね。世間に抗うよ
うな台詞の数々、その姿勢、大したもんだ。
しかし、なんやろ・・少々モノ足りなさを
感じたのは男優たちの品の良さにあるのか。
菅原文太と役所広司、松方弘樹と江口洋介、
新旧作品、同じ役どころのそこが、ね。画
面より滲み出るいやらしさが、もひとつか。
そこを補ったのは、真木よう子、阿部純子
の女優さんでした。凄いわ、この姉さん方。
呉原市のおなごは、根性すわっとりました。