昨年の8月に放映されたNHKスペシャル
【戦慄の記録 インパール】が書籍となっ
た。書店にて目敏く発見。【インパール作
戦】は戦後長く無謀な作戦の代名詞でした。
川幅600メートルの大河と2000メー
トル級の山々を越え、インドのイギリス軍
の拠点・インパール攻略を目指した日本軍。
3万人もの死者を出した作戦は、どのよう
に立案・遂行されたのか・・番組で紹介す
ることができなかった情報を加筆した一冊。
戦地インドの人たちにとってはイギリス軍
も日本軍も【よそ者】である。よそ者がや
ってきて、勝手に戦争を始め、空から爆弾
を放ち、地形が変わるほど砲弾をあびせた。
住民の多くの人が巻き込まれ犠牲になった。
太平洋戦争で最も無謀といわれる作戦でし
た。この作戦を遂行した大日本帝国陸軍は
戦闘集団であるとともに、首相をはじめ多
くの閣僚を輩出する政治集団であり、数百
万の兵と国家財政の8割前後を差配する官
僚集団であった。上司への忖度、現場の軽
視、横行する精神論、責任所在のあいまい
さ・・戦後70数年が経つ今も変わらない
日本社会の病理。あの男の顔がちらついて
くる。頁を捲る端々から怒りがこみあげる。